斉藤です。ミックス、してますか。
「世の中には『ミックスにはどんなプラグインを使った方がいい』という情報は数あれど、『なぜそのプラグインを使うのか』は書かれていないな」と思ったので書いておきます。
こういう記事こそ輝くよね、俺みたいなやつが(倒置法)
軽い気持ちで書き始めたら13,000文字を越えてしまい作業が大変になったので、簡略版にしました。すいません。
また、以下のミックスは男性ボーカルでやってます。女性も参考にならないわけではないと思いますがEQのポイントは違うかも。
はじめに:目的があって初めてプラグインを挿そう

大事なことなので最初に言っておきます。
目的があって初めてプラグインを挿そう。
初心者のうちは「ボーカルミックス やり方」でググることも多いと思います。
ここでよくあるのは「○○というプラグインを使うと魔法のように整ったサウンドになる!」というタイプの記事。
はえーそうなんだ買ってみようかな、と悩むこともあるでしょうが、買わなくて大丈夫です。なぜ「それが必要なのか」がわかるまでは魔法のようなサウンドにはなりません。
(そもそも、本当に魔法のプラグインがあるならエンジニアさんが廃業しています)
「でもよぉ、俺はミックスが苦痛だから早く終わらせたいんだよ」という方はiZotopeのNEUTRONとOZONEを買ってお終いにしましょう。AIによるミキシング&マスタリングをしてくれるソフトです。最近使いましたがそこそこイイ感じでした。EQは調節が必須ですが…(高域出すぎ)。
「なんか音が良くなるらしいからプラグインを挿す」では良くなりません。
「今の音には○○という不満があるからプラグインを挿す」で初めて音が良くなります。
とはいえ、「どんな音が良い音・悪い音なのかわからない」とか「○○という不満を抱いた時になんのプラグインを挿せばいいのかわからない」という方もいるでしょう。
そういう人のために実際のミックス作業を振り返りながら書いていきます!
必ずしもこの項番どおりに作業する必要はありませんが、糸口は見つかるかと思います。
1:録る前にすること
①マイク音量の話

まずは録りの音ですが、適切な音量で録りましょう。
ここでいう「適切」とは「どんだけデカい音を口から発しても-6dB(FS)を越えない程度」くらいに思っていてください。つまり普段のヴァースは-18dB(FS)くらいになるということです。
上記の「はじめに」を読んだあなたは、「なぜ-6dB(FS)を越えない程度に設定するのか」という疑問が出てきますよね。
それは簡単で、「音ってのは大きく録れば録るほどノイズが少ない音になるが、音割れした音は使えないので、ほどほどの大きさにするのが良い」からです。
(極論、あなたがほどほどの大きさだと信じるなら何-dBFSでも構いません)
また、「VUメーターは0VU=-18dBFSにします」と定めているところが多いので、VUメーターを使ってミックスするなら(VUを使わなくてもゲインステージング理論を信じるなら)-18dB(FS)を基準にした方がミックスしやすいから、という理由もあります。
海外のスタジオも-18dB(FS)を基準にしているところが多いので別に逆らう気がないなら郷に入っとけ、と思います。
オーディオIFならMIC音量のノブがあると思うのでそちらで音量調節しましょう。DAW側のフェーダーで調節すると最悪「音割れした音を小さくする」みたいなことになってしまうので注意。
※dB(FS)とは
やたらと-18dB(FS)という書き方をしていますが、マイナスから始まる音量はdBFS(デシベルフルスケール)といってDAWやPC上で扱える音量のことです(覚えなくていいです)。
要するにこの記事が扱うデシベルは全部dBFSという単位で、皆さんがDAWとかで使うのと同じ単位です。
②マイクの話

さて、マイクの話もしなければなりません。
とは言ってもマイクは好きなものを選べばいいと思います。人によって予算も違いますし、ぶっちゃけ「歌ってみた」では重要なのはマイクよりボーカリストの技量です。私なんかは技量は下手なのに高いマイクを使っているという逆転現象起きてます’`,、(‘∀`) ‘`,、
でも、真面目に活動をしたいならそれなりにマイクで名の知れているメーカーを選びましょう。FIFINEみたいなAmazonでしか見かけない謎のメーカーではなく、SHUREとかAKGとかオーディオテクニカとか。
“マイクで”名の知れている、とわざわざ書いたのはマランツのような「オーディオブランドとしては有名だけどマイクでは有名じゃない」みたいなものもあるからです。同社のUSBマイクはあまり質が良いとは思えませんでした(価格の割には使えるとは思いましたが)。
コンデンサーマイクで録る際は概ね口から20cmくらい離れた位置で、ダイナミックマイクは5~10cmくらいで録るんですが、ポップガードをマイクから離して距離感を調整すると同じ位置で録りやすいです。
よくTHE FIRST TAKEとかを見てるとポップガードに唇が触れるくらいの位置で歌っているボーカリストもいますが、ポップガードに当たるとマイクがその音を拾うのであまりオススメしません。

また、マイクに近いと「近接効果」という低域が増える効果がありますが、ほとんどのマイクでは低域はきちんと録れていると思うので私はわざわざ近づかなくてもいいかなーと思います。距離20cmくらいで録っても後でローカットしますし。
③吸音について
コンデンサーマイクを使う場合に特に欲しいのは吸音材です。
Adoさんも歌ってみたを録る際には吸音材を貼っているクローゼットで歌っているそうです。全体を囲う黒いなみなみのスポンジがそれ↓↓

流石に「Adoさんみたいにやれ!」とは日本の住宅事情を知る身からは言えませんが、マイクの背の側に布団やマットレスを掛けておくとかが(できるならば)オススメしたいところです。
音がキンキンするとか、逆にコモって聞こえるとか、リバーブのノリが不明瞭とかの場合、マイクの問題ではなく壁からの反射音(部屋鳴り)の問題ということもあるので。
場合によってはダイナミックマイクの使用も検討しましょう(ダイナミックマイクは物理的に口の近くで録れるので部屋鳴りの影響を受けにくいのです)。リファレンスにする楽曲によっては、例えばback numberとかがリファレンスなら私はダイナミックマイクを使うと思います。「ダイナミックマイクはコンデンサより下」みたいな謎の風潮がありますが表現したいもの次第だと思います。

海外の有名なラッパーが「吸音さえしっかりしてればRODEの安価なコンデンサーマイクでも良いテイクが録れる」と言っていた覚えがあります。
吸音材設置は単音で聞くと地味な効果ですが、オケと混ぜた時にピントが合った音になり、リバーブのノリが良くなると良いことしかないのでできれば試してみてください。
④ヘッドホンについて

スピーカーでミックスできる環境にあるならいいんですが、狭い日本ではほとんどがアパート住まいで音は出せないと思います。
そういう場合はヘッドホンで作業をすることもあるかと思いますが、最低限「モニターヘッドホン」と書かれたもので作業をすることを薦めます。特にこれからの作業は耳で判断するのでヘッドホンは大事です。
まぁモニターヘッドホンと銘打たれてても玉石混交ですが……やはりここでもAmazonでしか売ってない中国あたりのヘッドホンよりも有名なメーカーのものを選ぶのがベターだと思います。
機種は個人的な好みを言えばオススメはあるんですが、「ヘッドホンに○万円も出せるか!」って人がほとんどだと思うので、安い機種を探してください。私はヘッドホン☆オタクですが安い機種には詳しくないのです。
サウンドハウスのPBのCPH7000なんかは安いながら評判いいですね。聴いたことないから保証はできないですが。
未だスタジオの基準になってるMDR-CD900ST(SONY)とかは期待するほど良い音ではないです。低域出なさすぎ。ボーカルモニターに使うならまだしもミックスで使うヘッドホンじゃないかな。同じお金を出すなら別の機種を選ぶといいです。
2:まずメインボーカルから
さて、ここからは録った後の話(ミックス段階)になります。
この段は要するに「カラオケ音源にどうやって声を載せるか」、つまり「オケに負けないボーカルを作ること」、イコール「前に出るボーカルを作ること」に主眼に置いています。
後で馴染ませる段階もありますので、まずは前に出しちゃいましょう。
①音量はすべての基準

まずカラオケ音源とボーカルの音量を同じくらいの音量(dBFS)にしてみましょう。全部のミックスがそうとは言いませんが、そこそこちょうどいい音量になってくれるはずです。
私は自然とミックスしてるとボーカルが大きすぎる音にしてしまうことが多いので、同じくらいの音量にすると決めておくのが楽だしクオリティの安定に直結します。
どちらも-18dB(FS)くらいで抑えるのが楽です。ここは神経質にならずに「ざっくり」で構いません。
(カラオケ音源が-0dB(FS)付近でマスタリングされていることも多いのでその場合は遠慮なく音量を下げましょう)
コーラス(被せ)がある場合(まぁほとんどあるでしょうが)、とりあえず本線のボーカルと一緒に流して「わずかに聞こえる程度」に設定しておきましょう。その後邪魔ならミュートしてもいいです。
②メインボーカルがぼやっとする(ローカット編)

音量を揃えたらまず耳につくのは周波数帯のことではないでしょうか。
私は低域が豊かに録れる方で、カラオケ音源と混ぜると声が埋もれる方です。使ってるマイクもどちらかというと低域寄りですしね。
なので、まずすっきりするまでローカットをします。
ここで「100Hz以下を○dBカットして~」とか具体的な周波数を出せればラク極まりないんですが、人によるのでなんとも言えません。耳で聞いて決めましょう、と言われても困ると思うので今回に限り公開すると140Hzあたりまでカットしました。もっとしてもいいかも。金輪際直せないわけじゃないのでエイヤッと決めてしまいましょう。
リファレンスにする楽曲を決めておいて、その音源と比べて「どこまでローカットするか」を決めておくといいと思います(もちろん、ローカット不要だと思うのならやらなくてもいいです)。
ローカットには2つの意味があります。
①可聴域外の低音を削ることで低域ノイズ&音量を減らすことができる(=可聴域外の低音でコンプが変に引っかかるのを防ぐことができる)
②耳で聴いて邪魔な低域を削る
私は面倒なので一緒にやっちゃっています。
市販の歌を聴くと結構がっつりローカットしているのがわかるかと思います。わからない方はリファレンスにした曲のボーカルと聞き比べてみましょう。
③まだメインボーカルがぼやっとする(EQ編)

まだ低域を削っただけなので大きく変わりません。
なので、EQで高域~超高域を上げます。
上げる箇所は自分で決めていいですが、今回は7,000Hzあたりを思い切って上げました。
これは私がよく使うPultec EQP-1Aの高域を上げるポイントになっていて、私がよくEQP-1Aを使うからですね。今回は8dBも上げています。ちょっと上げすぎ。
マイクが高域寄りの機種ならもっと控えめに上げることになるでしょうし、上げる周波数帯も違ってくるでしょう。飽くまで耳で聞いて決めましょう。
よく「EQは±3dB以内にしよう!」という言説もありますが、±3dBくらいの変化なら変になりにくい(=劇的に良くなることもない)ので言われています。
私は「良くなるなら何dBでも上げればいいがな」と思う方ですが、この後まだ目立たせるセクションがあるので気になるなら±3dBくらいを基準にしてみてもいいかもしれません。
補遺
「難しいことわかんねーよ!俺はパッとどうにかしたいの!」という方は前述のPultec EQP-1A系やTilt EQのプラグインを使うと良いでしょう。Qが広く自然です。無料VSTでも似たプラグインがあるようですよ。


④メインボーカルが前に出てこない(コンプ編)

EQでちょっと高域にフックというか、「前に出るときは出る」くらいの修正ができたかと思います。
これを「常に前に出す」にはもう少し作業が必要です。
ボーカルを前に出すため、コンプレッサーでアタック遅め、リリース速め、レシオは8くらいで設定してみましょう(ダンサブルな音圧高い曲ならレシオ12でもいいですし、繊細な曲なら4でも構いません)。
スレッショルド(1176の場合はインプット)はお好みで。今回はざっくり-6dBくらいになるくらいにかけたようです。
コンプの考え方については私の記事の中では以下がまとまっています。

これも「コンプかけたけど違いがわからん!」ってなりがちなので、その場合はゲインリダクションが思いっきり動くように設定してみて、徐々に緩めてみましょう。
コンプの基準は難しいんですが、呼吸音(ブレス)が大きくなって、エッジのある耳障りな音になってたら「かけすぎ」です。
あと大事なのは耳で聴いて「コンプをバイパスした時と大体同じ音量になるように」コンプをかけることです。
基本的にプラグインで音量が変わらないようにしておくと後から「やっぱコンプ差し替えたいな」と思ってオンオフする時に音量がバラバラにならずに済みます。
あとニンゲンは音が大きくなった=良い音になったと勘違いする愚かなイキモノです。そうなるとどのプラグインでも音を大きくしちゃって破綻するので我慢して毎回プラグインで上がった分の音量を下げましょう。
ボーカルコンプならSoftube – CL 1Bもオススメ。以下に設定も一緒に書いています。ちょっとスレッショルドいじっただけでガンガンリダクションするのがちょっと使いづらいけど、ロングトーンで声が細くなったところを補強してくれる、あとヒトオシが欲しい時に使えるコンプです。セールだと4,000円だし。

⑤メインボーカルを目立たせたい(サチュレータ編)

サチュレーションをかけると歌がうまく聞こえます。使いましょう。
サチュレーション(Saturation)は『飽和』という意味だけあって、音量を飽和させた時のような歪みを得ることができます(使うサチュレーターによるけど)。音量を飽和…つまりコンプみたいな働きもしてくれるので声の安定にも寄与してくれます。
サチュレーターは言うなら「音割れ」を起こすプラグインと思ってくれていいです。デジタルの音割れは聞き苦しい音ですが、アナログの暖かい音割れをエミュレーションしているようなプラグインです。
また、「音割れ」はデジタル・アナログ問わず耳につく音ですが、微量の音割れっぽさを混ぜることによって「ボーカルが耳につくようにする」能力を持ちます。たぶん。これがボーカルの存在感に寄与してくれるんですね。
サチュレーションは「声が潰れて聞こえる手前」に設定するのを薦めます。つまり結構がっつりかけるということです。サビとかで声を張ったところを何回か巻き戻して音が潰れていないか(音割れっぽくなっていないか)を聴いてみましょう。

サチュレーターで一番手軽なのはSoftubeのSaturation Knob(無料)です。これは俺も持っていたので試してみたんですが、アウトプットノブがあれば完璧なんじゃないだろうか。
下のトグルを「NEUTRAL」のまま大きいノブを上げていくと段々音割れっぽくなっていきます。
マイナス面は「音量も一緒に上がっちゃうこと」です。ここで上がった分しっかり音量を再度調節しましょう。
また、これは経験則的なことなんですが、よく「ヘッドホンでミックスした後にスマホのスピーカーで聴くと歌が下手に聞こえる」ってあるあるがあるんですが、ボーカルにサチュレーターをかけるとスマホで聴いても比較的下手に聞こえにくいです。これに関してはなぜかわからん。倍音のおかげかな。知ってる人はメールして。
⑥サ行がうるさい(ディエッサー編)

ここまでやったことといえば「高域を上げる」「それを目立たせる」なので当然高域が上がっていてサシスセソの音が耳に痛くなっていることでしょう。場合によってはカキクケコもやけにエッジが立っているかもしれません。
それを解決するのがディエッサーです。私は有料のを使っていますが、フリーのディエッサーはたくさんあるので「ディエッサー VST フリー」で検索検索ゥ! 最初ならDAWに付属のものでもいいかも。
でも上記の902はオススメ。サ行だけでなくカ行のエッジも自然に均してくれる。セール時4,500円くらいだし(金のことばっかり言ってる)。
もちろん「別にサ行は刺さらないな」と思ったらかけなくてもいいです。
⑦音量が変わったので音量を調節
⑤の末尾にも書いていますが、音量が変わってしまったと思うのでメインボーカルの音量をカラオケ音源と同じ-18dB(FS)くらいに設定し直しましょう。
この時の音量はDAWのフェーダーで調節しましょう。ゲインで下げるとせっかく設定したコンプやサチュレーターのかかり方が変わってしまうので。
3:コーラス(被せ)のミックス
コーラスも考え方はメインボーカルと変わりません。
ただ、コーラスは「聞こえるのに目立たない音を目指す」という矛盾したセクションなので、ちょっと難しいかもしれません。
でも、考え方さえわかっていれば大丈夫です。
①音量を調節
ミックスはシーソーみたいなもので、メインボーカルを目立たせた代わりにコーラスが目立たなくなる、ということが起こるのでまたコーラスの音量調節をします。
リファレンス曲を聴いてどれくらいの音量のコーラスなのかを聴いておきましょう。
また、リファレンスのコーラスがどんなコーラスになっているか聴いておきましょう。メインボーカルと同じモノラルの真ん中に定位するものなのか、左右に音が広がるものなのか、あるいはその両方なのか。
とりあえず、何も記載がない場合は「モノラルで真ん中に定位するもの」のやり方で書いておきます。
②目立たない音にしたい(ローカット&EQ編)

ミックスで一番飽和しやすいのは低域なので、ローカットをします(低域が飽和するようならメインボーカルより多めにローカットしても構いません)。
また、前回上げた帯域からなだらかなQで超高域までを下げています。これによって目立たない地味な音色になってくれます。やりすぎると声そのものが変になるのでそこそこで。
③音量は安定して「聴かせ」たい(コンプ編)

今回、音の強弱感はメインボーカルの方で充分出しているので、コーラスはのっぺりしても構わないと考えています。
なので、アタック爆速、リリース最遅、レシオは20にしてリダクションメーターが-20あたりをうろうろするように設定します。
ガハハハハ! とギルド受付嬢のケツをなでる海賊のような気持ちでめちゃくちゃにしてやりましょう。加減はしろよ。
こちらも最後のアウトプットで「コンプをかける前と同じくらいの音量感になるくらい」に音量を調節します。
④まとまりをちょっと出したい(サチュレータ編)

このミックスの時は同じプラグインを使ってるとメインボーカルとコーラスに「まとまり」ができるのでそれを優先したんだと思います。たぶん。だいぶ前にミックスしたから覚えてないぞ。
特にコンプまでで文句ない出来になっているならサチュレーターかけなくてもいいです。これは「目立たなさ」を取るか「まとまり」を取るかで決めてください。あんまりかけすぎると後ろに行ってほしいコーラスが前に出ちゃうのでそこそこにしておきましょう。
⑤’広がりを出したい(※必要な場合のみ)

リファレンスによっては、コーラスが左右に広がった音に聞こえるかもしれません。
そういう時は大体エフェクトでなんとかしているのです。
まず、定番なのが「コーラス」エフェクト。名前そのまんまですね。どげんかせんといかん。それはそのまんま東ですね。

コーラスはDAW買ったら最初から付属していることも多いと思うので、まずはそれを試すのもいいかもしれません。もちろん名機をエミュレートしたものを選んでもOKです。私がよく使ってるのはRoland Dimension Dをエミュレートしたプラグインです。

また、私は自然な広がりを得る場合はsoundtoysのEchoBoyというディレイを使うことが多いです。
これは普通に使えば広がりのあるディレイなんですが、ECHO TIMEを1/64thにして超短く、FEEDBACKをゼロに設定すると「やりすぎないくらいに音が広がる」んですよね。これはこのプラグインでしか得られない音だと思います。
コーラスプラグインだとちょっと違和感ある場合はオススメです。定価33,000円するけど。
⑥サ行がうるさい(ディエッサー編)

今回のボーカルはサ行が気になったのでコーラスにもかけています。もちろん気にならないならかけなくてもいいです。
⑦音量が変わったので音量を調節
サチュレータなどで音量が変わったので音量を調節します。
コーラスの音量は一概に「-○dB(FS)にして」とは言えません。ただ、フェーダーをジワジワ下げていくとメインボーカルと一体になるスポットがあります。飽くまでもメインボーカルが主役になるくらいの音量にしておきましょう。
4:声とオケを馴染ませる
はい、ここまではいかに「オケに負けないボーカルを作るか」でしたが、ここからは「馴染ませる」作業に入ります。
①DAWの「SEND」のやり方を確認しておく

ここからはリバーブを使います。
リバーブといえばセンド、というのはマシンパワーが強くなった昨今ではちょっと前時代的かもしれませんが、私は原音をいじらなくて済むのでセンドを使っています。
(あと私がよく使うUADは挿せるプラグインの量が決まっているので全インサートに挿せないという事情もあります)
大抵は「(DAW名) センド」とかでググれば出てきますので調べておいてください。
「俺はインサートでもうまくリバーブ扱えるぜ!」という剛の者は飛ばして構いません。
②「同じ空間で鳴らしている」っぽさを出したい(ルームリバーブ編)

持っている中で一番良いルームリバーブを使いましょう。センドで使う場合はWET100%にするのも忘れずに。
ルームリバーブは、音同士を馴染ませるためにあります。
かければかけるほどボーカルが前に出なくなり、馴染んでいくかと思います(もちろんかけすぎたら不自然になります)。
ボーカルにリファレンス曲と同じくらいかけてみましょう。
ルームは小さい部屋のエミュレートから始めるといいかもしれません。
③’もっと馴染ませたい(プレートリバーブ編)

②までで充分リバーブ感を得られていれば不要ですが、「もっと馴染ませたいけどこれ以上ルームリバーブをかけると変になっちゃう」という時は別のチャンネルに別のリバーブを立ち上げましょう。
ボーカルにはよくプレートリバーブという種類のリバーブが使われます(クセがないから)。
私がよくミックスするヒップホップなどではリバーブ感がないドライなミックスをすることもあるので、曲によって必要かどうか決めましょう。
④’もっともっと馴染ませたい(ディレイ編)

さらに馴染ませたい場合はディレイを使うのも常套手段です。
こちらもセンドで徐々に流す量を決めましょう。リバーブよりも繊細なコントロールが必要になりますが、馴染みもそれだけ速いです。
補遺
「それでも馴染まない! 前に出すぎる!」という場合はコンプ・サチュレーターをやり直すかDAWのフェーダーでボーカルとコーラスの音量を下げましょう。やはり音量。音量はすべてを解決する…!
5 マスタリング(のようなもの)
マスタリング…と銘打ってますが、本物のマスタリングはそれこそ魔法みたいなもの(ある帯域だけを0.5dB上げるだけで生き生きとした売り物の音源みたいな音にしたりする、ガチの魔法を修めた修験者だけが辿り着く境地)なので、我々一般人にできるのは「マスタリングもどき」です。
また、マスタリングはプラグインに比較的依存します。つまり特定のプラグインを使う=フリープラグインでは難しいということです。
「DTMは金で殴れ」とも言いますし、ある程度は金が必要ということです。が、とりあえず無料で手に入るVSTでやってみるといいと思います。
ここからはマスタートラックでの作業になります。
①ちょっとだけノリを良くしたい(EQ編)

マスタリング時のEQは大体±2dBくらいに留めておきましょう。いや、あなたがどうしてもというなら止めませんが、±6dBくらいいじるならミックスの段階に戻って直した方が良い音になります。
さて、上げる箇所ですが、ベースのノリが良くなるところを上げましょう。これも曲によりますが、100Hzあたりをうろうろしたら見つかるでしょう。声との一体感が出ます。
また、ボーカルの最もエネルギーが集まるところもノリが良くなりがちです。これは男性ボーカルの場合2,000Hzあたりをうろうろすれば見つかるかもしれません。わからない場合は低域だけ上げていじらないのもいいと思います。
②音圧を上げたい(コンプ編)

音楽においては「音圧戦争は終わった!」と言われることもあるようですが、私はさほど信用していません。
今もヒットチャートには音圧マシマシな曲が多いのが証左です。Q.E.D。証明終了。
もちろんパツパツになるまで突っ込むのは太ももだけでいいアップする媒体によってはラウドネス・ノーマライズがかかって良くないでしょうが、ある程度の音圧は必要だと思います。
……というわけで、音圧を高めるためにコンプレッションをかけましょう。ここでもあまり大きくコンプ感を出すのではなく、原音が破綻しないギリギリを攻めましょう。
「原音が破綻した状態ってナニ!?」ってなる場合は一回ものすごいリダクションをかけてみましょう。ゲルの中をかき分けるような変な音になると思います。そこからリダクションが-3dB~-6dBくらいになる音に戻すと「原音だ~」ってなると思います。その感覚です(?)
③まだ音圧を上げたい(Inflator編)

この項番はOxford Inflatorを持ってる人のみ見てください。
持ってない君は買ってもいいんだぜ。セール時は5,000円くらいだし。ネ!
インサートしてEFFECTノブを満足いくまで上げるだけ!簡単だァね!
倍音を付加してくれる、いわばサチュレーターのマスターに使える版です。
人によっては「マスタリングで倍音足すのはナシ!」という人もいるかも。音良けりゃいいんだよ。ヒィーヒッヒ!(謎の釜を混ぜる魔女のように)

ちなみに、前述のサチュレータSaturation Knobでも似た音にはできます。ちょっと設定がシビアでInflatorの方が楽だけど。Inflatorの方が破綻しにくい。
④耳に痛いところをちょっと抑えたい(ディエッサー編)

最後の最後に耳に痛い音があれば薄くかけておきましょう。
ここで深くかけるようならまたミックスに戻って抑えた方がいいです。
もちろんここに来るまでにバッチリ直っているならディエッサーは要りません。
⑤音割れを防ぎたい(リミッター編)

手持ちの中で最も透明なリミッターでちょくちょくピークを叩く程度に音量を上げましょう。
カラオケも声も-18dB(FS)くらいにしているので十分な上げ幅があるはずです。画像では4.4dBも上げています。上げるねェ~(黄猿)
⑥一日経った後にまた聞く
作業が終わったら一日経つのを待ちましょう。
絶対に「リバーブかけすぎたな」とか「声の高域上げすぎた」とか欠陥が見つかるので直していきましょう。
5:終わりに

つ、疲れた…13,000字も書いてしまった。読むやついるのかこれ?
他にも、ボーカルのタイミングを合わせるためにちまちま切ったり貼ったりしたり、呼吸音(ブレス)を消したり、ピッチ補正をしたりする。けど書き切れん。それにピッチ補正はまだ俺も勉強中だし書けることがない。
まぁ、ここに書いたことに縛られることなく、やりたいようにやってください。
これはこのプロジェクトの場合のミックスです。
例えば、コンプレッサーを1つ立ち上げて-3dBリダクションするよりも、2つ立ち上げて-1.5dBずつする方が自然な音がしたりします。それらも今回は触れてませんが、やりたい人はやってください。
他にも光学式コンプ(オプトコンプ)とFETコンプを互いの弱点を補うように使ったりすることもあったり、センドで送ったリバーブにコンプかけて目立たせたりしますが、そういう話はちょっと上達して本記事を参考にしなくてもよくなった頃に自分で検索して見つける、そんな出会い方をした方が自分のためになるもんだ。うんうん。書き切れないだけだけど。
困ったときは冒頭の言葉を思い出しましょう。
「目的があって初めてプラグインを挿そう」
効いているかわからないプラグインは全部外して、目的を果たすためのプラグインのみインサートしましょう。
大体これさえ心がけてればオッケーです。
終わります。



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