
斉藤です。
UADのプラグインを眺めていたら、いつの間にかCentury Tube Channel Stripが追加されていました。
前に評価した時はあまり高い評価をしていなかったので買った覚えがなく、たぶん無料で配布されたのでしょう。
じゃあどんなもんか、と思って再度試してみたのでその旨書いていきます。
測定的には

見てみるとわずかに超低域・超高域が下がったかまぼこになっていますね。
まぁ低域側で20Hz、高域側で20kHzがそれぞれ-2dB下がっている程度なので、どれくらいの聴感上の影響があるかはわかりませんが。

EQはかなりQ幅が広く、試しに高域を+3dB上げてみましたが、プラグイン上では「10kHz」と書かれているけど「600Hz~17kHz」に影響があるようです。広すぎぃ!

これは低域でも同じで公称「110Hz」をいじることになる低域側のEQでも「20Hz~600Hz」が持ち上がります。
周波数が固定ということもあり「ちょっとローカットしたいな」と思ったらかなり高いところから削られるのでご希望に添えない感じにはなると思います。ちょっといじっただけで低域すぐスカスカになるし。
どちらかと言うと「高域側で強めにかけてTilt EQみたいに使うのが正しそう」と思いました。
使い方的には(あと音的には)
まぁ測定の話なんてどうでもいいんですよ。賑やかしみたいなもんや。

プリアンプ部
「TUBE PREAMP」って書いてあるところ。一番左のパネル。
まず、「LOW」か「HIGH」かを選びますが、これはUAの記事で「コンデンサマイクを使う時はLOWを使ってもらって、ダイナミックやリボンを使う時はHIGHを使って」って言ってた気がする(俺が見たUAの記事は見つからなかったけどDTMステーションの記事ではそう言ってた、一次ソース出せなくてすまん)。
とはいえ、音楽は自由なのでどっちを使ってもいいです。
その他、フェイズとか色々ついてますが飛ばして、LEVELがあります。

「LEVEL」は要するにインプットなんですが、良いところとして「OL(オーバーロード)」ライトがあって、歪んでいるときはここが点灯します。
「ギリギリまで太い音が欲しいけど歪んでは欲しくない」という場合は、なるべくレベルを大きくした上でOLが点灯しない程度にするといいでしょう。
音的には、太く、ズドンとした音でいいですね。
同じTubeのManley VOXBOXと比較しても太いですね。Neve1073と比較しても全然太いです(まぁ1073は真空管と渡り合えるほど太い方ではないので比較するまでもありませんが、気になる方もいるかなと思って記載してます)。
太い割に高域が鈍い感じはなく、低域は若干モコる感じはありますが、1073みたいに低域が遅い感じもなく、かなり印象いいです。VOXBOXと比較すると太いのに高域が明るい印象を受けます。
EQ部

上からHIGH~MIDDLE~LOWの周波数帯です。
低域が結構扱いにくく、すぐスカスカになるのでわざわざこのプラグインで設定するよりは慣れたEQで触った方がいいかもしれません。
いや、これでも設定できないことはないんですが、少なくともそう簡単にローカットはできません。

またアナライザ出して申し訳ないんですが、ローを減らす方向に回すと700Hz辺りがボコっと上がる特性はあるし、ローもクセのある減り方をしています。
帯域を変えるFREQノブがあれば全然これでもいいと思いますが、110Hz固定です。なのであまり私は薦めないです。
MIDDLE~HIGHは悪くはないですが、やはり設定幅の狭さというか、Qが広すぎるので私は使いにくいな、と思いました。やはり先ほど言ったとおり「Tilt EQみたいに音の重心を変えるもの」として認識した方がいいな、と思います。
とまぁ、使いにくさを前面に不満を言いましたが、音の方も印象通りというか、「低域はカットしようとするとすぐスカスカになるが、適切にミリ単位でマウス操作すればほどよいところに設定は一応可能」とか「高域はいくら回してもなかなか上がらないのに急に半分を越したあたりからモリモリになっていくのでこれまた耗単位のマウス操作が必須」と設定はできなくはないながらも使いにくいと言えるでしょう。
コンプ部

「OPTO LEVELER」と書かれているとおり、オプトコンプなんでしょう。まぁワンノブだからそうだろうな、という感じですが……。
音自体は、悪くないと思います。というかオプトコンプってこんな感じよね、という予想の範疇の音。LA-2Aみたいに途中まではそれなりの速度のリリースだけど、後半かなり遅くなるのでたぶんLA-2Aを意識しているのでしょう。アタックは若干こっちの方が速い気はしますが……(RedditではLA-3Aライクだと言われていました)。
ただ、そんな使える音をぶっ壊す仕様として、オンにすると音量が10dBくらい上がります。耳ぶっ壊れるかと思たわ。
もちろんコンプのノブを絞ってあればそんなことは起きませんが、デフォルトの状態からオンにする人が多いんじゃないかな……。
また、律儀に左(プリアンプ部)からちゃくちゃくと音量を調節してきた人の思惑をぶっ壊す役目も担っており、ほどよい音量をインプットとアウトプットで作ってきたのに爆音で無意味と化してくれる様はプラグインという垣根を越えて人間に無常を教えてくれて勉強になります。クソがよ。
というわけで私は使わないです。コンプかけた前と後で比較しにくいことこの上ない。後段に別途コンプ入れる方がマシ。
アウトプット部

アウトプットノブがあるだけ。
説明書を見るに「クリーンなデジタルゲイン」とのことなのでここを上げてもアナログなサチュレーションは発生しないみたいです。
(なぜかノブの下にオンオフスイッチがあり、これをオフにするとたぶん強制的に±0dBにしてくれるっぽいです、ミュートじゃなくアウトプットの値をゼロにするだけ。音は出る。必要か? これ)
総評

マイクプリの質だけは使える音をしているな! という印象です。
EQとコンプくんは実用を見送られた方がマシだったんじゃないですかね……。
というと悪く言っているようですが(実際に悪く言ってますが)、マイクプリの質は使うシチュエーションと人によってはManleyもNeveも凌ぐと思います。
太さが出て高域が曇らないのがいいですね! UA610-Aより荒い音出さないし。というか解像度高いまま太い。
顧客がUADに求めるものって、「有名機材のエミュレーション」なので、UAが独自に開発したこういうプラグインは脚光浴びにくいですが、音は良いですね。
(Verve Analog Machinesとか独自開発のプラグインで迷走してるのはありますが)
アフィブログによっては「初心者向け!」って書いてる人もいるけど、UAD初心者がこれ買おうとしてたら止めるかな……耳壊してほしくないし。プリの音だけ使いたいなら止めないけど……って感じ。
補遺

UADは「この楽器にはこのプラグインが合うよ」という表を用意してくれています(なぜか日本語のページにはありません、ガッデム)。
この表の中には今回のCentury Tubeはありません。ナメてんのか。
終わります。



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