それ理由ある? ボーカルEQもコンプも、よくある定説を全部疑ってみた(私見マシマシ)

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 斉藤です。
 ボーカルミックスにはネットで言われてる定説がありますが、今回はそれをぶち壊す私見を語ろうと思います。くれぐれも参考にすんなよな!

①EQは100Hz以上削ってもOK

最近Pro-Q3からPro-Q4にしました。にへへ…褒めて(大崎甜花)

 ボーカルのEQといえば「100Hz以下はローカットしろ」というのが一番目につく意見じゃないでしょうか。
 それ自体も乱暴な意見ですがそこは置いておくとして(場合による)、それを「100Hz付近は必ず残す」と解釈するのは誤りです。

 これはどういうことかと言うと、
①EQ(ローカット等)
②コンプ等
③EQ(本EQ)
④以降その他の処理~
 という流れでやっている人が多いかと思いますが、①のローカットは“コンプの邪魔になる低域の整理”が主な目的です。
 ③の本EQの時に必ず100Hzを残しておかなきゃならない、というルールはありません

EQカーブを見られるプラグイン。

 実際に私の最近やったボーカル処理を見ると、結果的に200Hzあたりから落ち始め、100Hzは-4dB前後まで削られているようです。

「ボーカルの近さ」を決める低域は、曲によって必要なときと不要なときがあります。
 Gregory Scottというエンジニアは「ギターミックスが濃密で叫んでいるような曲ではボーカルの低域はほとんど要らない」と言っています。私も同意します。
(無論、暗に「それ以外の曲は低域が必要」と言っているのも忘れないでください)

 また「100Hzでローカット」という表現は便宜上のもの。
150Hz付近から切ることもあれば、もっと控えめなこともあります。要するに曲によりけりということです。

②EQスイープ、本当に必要?

Wavesのページでも言われている

 よくEQで「尖らせたQを+12dBに設定して、スイープして耳障りになるところをカットしよう」みたいなもっともらしい話があります。
「マイクに入った部屋鳴りを取り除くためにやる!」と続くこともあります。
 ……これ、俺は良くなったことないです。

 いや、プロのミックスならわかるんですよ。
 時に録音環境が悪いボーカルを仕事として整えることもあるわけで、不要な帯域を慎重に補正することもあるでしょう。

 でも、俺らにその耳ある?
 
一帯域ごとに納得できる理由があって削れる耳を持つなら良いと思います。その前にプロになればいいと思いますが……。
 俺はこんな小手先なテクニックだけプロと同じ方法を採るより、必死こいて”耳で聴いた”再現性のないゆるいQのイコライジングの方が圧倒的にクオリティに直結すると思います。

 あと逆に聞きたいんですけど、そんな尖らせたQでスイープして耳障りにならない帯域ないでしょ。少なくとも俺の耳には全部変に聞こえるわ。変にならない帯域があるとしたら元々の音量が少ない帯域なんだわ。俺の耳がおかしいと言われてもこれは言い続ける(令和のガリレオ)

 あなたの耳の経験は「全体で聴いてイイ感じ」な音を見分けるためにあると思いますよ。

 よほどの文盲じゃない限りわかると思いますが、プロの方がサージカルなEQをすることを否定しているわけではありません。
 あともちろん素人でもやりたいならやればいいと思います。時間以外、損するわけでもないので。

③「コンプレッサーは-3dBを目安に」とか誰が言い出したの?

アタック・リリースは「場合による」って濁すのにリダクション量は-3dBと言い切れる謎

 よく「ボーカルのコンプは-3dBくらいになるように設定するといいよ」と言われます。これは爆裂リアルマジで書かれていることが本当に多いです。
 ……が、「それは○○という理由だから」という説明を聞いたことがありません。なぜなら、恐らく説明できないからです。
 聞きかじりの知識で自分で試していないからそういうことになる(俺もそうだったという自戒も込めて)。

 理由として考えられるのは、実機コンプの掛け録りの際、「失敗しないのが-3dBくらいだ」というノウハウがプラグインを使う際にも適用されると誤って伝わってしまったんじゃないかと思っています。真偽は不明。

 俺はというと、複数のコンプレッサーを使うので律儀にわざわざ測定したことはありませんが、直近の曲では合計で-10dB以上は全然リダクションしています(ここ私見ポイント)
 そりゃうちには実機コンプ2台あって、ITBでも1~2個はコンプ入れて、ボーカルバスでコンプ入れて、マスターにもリミッター入れてるんだから-10dBは越えるでしょ。

 一応俺が勝手に言ってるだけじゃない、という釈明をしておくと、Redditでも「ボーカルは1176のメーターが-20dBに張り付くまで圧縮しろ」というのはよく言われています。
 それがやりすぎかどうかは自分の耳で確かめてください。自分の耳でキツいと思うならやめてください(今回ずっとそういう話をしていますね)。

 というか、「ボーカル コンプレッサー」で画像検索していただくとわかるように大体のコンプは-20dBくらいまでメーターがついているわけで、「ダイナミクスが最も大きな楽器」と呼ばれるボーカルでメーターの1.5割くらいしか使わないなんてことがあるんだろうか?(まぁボーカル専用コンプってのがないから詮のない話ですが)

「じゃあボーカルは常に-10dBくらいリダクションしてていいんだ!」とも思わないでください。
 私はオケが音圧マシマシ海苔波形ならボーカルもそれなりのリダクション量になるだろうし、逆にアコギ一本の弾き語りなのにボーカルだけバキバキにするとそれは普通にニュアンスが失われる、と思っています。
 ただ、思ったよりボーカルのコンプは深めでいいな、というのはここ最近で思いました。-3dB理論を鼻で笑うくらいには。

終わりに

今回のサムネ。なんで裸なんだよ。

 以上、私見です。
 自己責任って言葉の意味がわからないうちは参考にしてはいけません。
 でもあなたが「ネットで言ってたから絶対こうしなきゃ!」みたいな呪縛から逃れられるといいな、と思って書きました。

 ミックスのことってあまりに門外不出なので、保守的な意見とか「これをしたら劇的によくなる!」みたいな眉唾話に支配されやすいんじゃないかとは思いますね。

 ここで書いたことも現在の私の意見なので、もしかすると今後しれっと「やっぱコンプは-3dBに限る!」とか言い出すかもしれませんしね。ねーな

 もちろん、上記の私見はあなたのミキシングを否定するものではありません。
「俺は素人だけどサージカルEQで効果を感じてるよ!」と言われたらお慶び申し上げるとともに「そりゃよかったですね(爪をいじりながら)」と言って差し上げます。俺は優しいので

 それぞれがしたいミックスを耳でやれ、というのが今回のテーマなのかもしれませんね。知らんけど。

 終わります。

 

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