マキシマイザー沼の終着点を探して――。ゲーム実況に使う有料リミッター&マキシマイザー比較レビュー

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 斉藤です。
 前回YouTubeで上げているゲーム実況のラウドネス値を勘違いしていたという記事を書きました。
 んで、そうなるとゲーム実況に使えるリミッター/マキシマイザーが必要になってきます。
 私は元がDTMerなので潤沢にリミッターを持っているわけですが、金に糸目をつけないで決めるならどのリミッター/マキシマイザーがいいのかを決めてみます。

 なお、飽くまで楽曲ではなく「ゲーム実況・配信に使えるリミッターかどうか」の目線で判断します。
 また、私の撮る環境的にゲインを+12dBくらいした際の挙動を確かめます(ちゃんとチャンネルごとに音量を揃えればそんなにゲインを上げなくてもいいのでは? と思われるかもしれませんが、諸事情があって難しいのと、私は毎日動画を上げているので楽をできるところは楽をしたいのです、音質は二の次)。

評価基準

・プリセットが自分で作れて、一瞬で設定が済むこと
(毎日のことだからクリック数が少なければ少ないほどいい)
・Premiereが落ちないこと
(たまに書き出しの時にエラー出すんすよ…)
・インプットゲインを+12~+14dBあたりまで上げれること
(今回は+12dBで統一)
・トゥルーピーク、Ceilingを-1.0dBに設定できること
(音割れ防止)
・音質はほどほどでよい
(なるべくならアナログ的な歪みを与えるタイプではなく、デジタルでさらっとした周波数バランスが変わらないもの)

 なお、★★★★★などで評価しますが、重ねて言うと飽くまで「ゲーム実況で使うリミッターとして上記の条件を満たすか」の評価なので、音質の評価ではありません。これだけは真実を伝えたかった。

Newfangled Audio – Elevate

Elevateは中域の厚みだけ足される、Pro-L2とは対極の関係

評価:★★★★☆

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…ギリOK(12dBまでしか上げられない)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…くどくなくて粘りが薄い、でもちょっと低~中域にドスが利いた音がします。「ユニークな音」と言われているそうですが、一番音像が大げさに大きくならず、リミッターを掛ける前の帯域バランスを素直に保ってくれます。男性の声を魅力的にしたいならいいかも。

A.O.M.Audio – Invisible Limiter G3

音は流石のAOMクオリティ

評価:★☆☆☆☆

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…不明
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(+20dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…Elevateと同じくらい澄んでいます。ほどよい太さもありますが、基本的にはリミッター入れる前の帯域バランスを保ってくれています。
 実況どころか作曲にももちろんいいですね。

 なかなか印象がいいんですが、このリミッターを閉じて開き直すと以下のような画面になってしまいます。

 恐らくグラフィックに負担がかかってGUIがなくなった状態なんだと思いますが、プリセットも開かず扱いにくいのでこれを選ぶことはないかも。
(一応断っておくと、Adobe Premiereだけで起きる現象だと思うので他のDAWだと影響ないと思います)

Musik Hack – Master Plan

ねばつきNo.1 楽曲に使うと良い評価になると思う

評価:★★★☆☆

・プリセット作成可能か…OK(下にあってちょっとややこしい点は減点)
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(+24dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…粘っこい方で、楽曲向けのリミッターという印象です。ゲーム実況のようなしゃべりメインだとちょっと近さが不自然かも。高域、恐らく4kHzあたりにちょっとピークを感じてうるさく感じます。ラウダーラウダー。

 また、左下でLUFS(音量の平均)を測れるので、音質が気に入れば、YouTubeのラウドネス・ノーマライゼーションを避けるために後段にアナライザを入れる必要がないのは美点と言えるでしょう。

Fabfilter – Pro-L2

さらっとしていて無難。軽いし。

評価:★★★★☆

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(30dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…くどくなくさらっとしている。Elevateが中域の厚み、Pro-L2が高域の充実、という感じ。+12dBもすると流石に高域が上がるのでトゲトゲしいところはある。音が軽いといえばそれはそうだけど、余計な味付けがないと言われればそれはそう。ヒラメくらい淡泊。
 でも音がいいかと言われると微妙かな~~~、淡泊すぎて高域が足される感じがやっぱ好きじゃないです(※飽くまでゲーム実況に使う場合です)。

UAD – C-Suite C-Max Limiter

今まで使っていた。中域のガッツ以外は自然。

評価:★★★★☆

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(20dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…嫌味がなく、必要以上にはチクチクしません。ただ元々持っているトゲトゲしさは増幅する方ではあります(当たり前体操)。また、ちょっとそっけなさすぎるきらいはあります。Elevateほどではないですが中域にガッツが乗ります。実況にも作曲にも使えるタイプ。

Cradle – The God Particle

単なるリミッターとは毛色が違うかもしれない

評価:★★★★☆~★★★★★(amount 0%時)

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(12dBまでしか設定できない)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…低域が明らかに厚く、かといっていつまでも音が残らないイイ感じの音にしてくれる。音が横並びにならず立体感がある感じ。これの後に他のリミッターを比較試聴すると立体感に乏しく感じる。楽曲ならJ-POPやロック、ダンス系にオススメできる感じ。
 ゲーム実況にはどうかな…。低域と高域でこんなにきっぱりわかれて立体感あるのは珍しいと思う。実況ではここまでの低音はいらないことがほとんどじゃないだろうか。
 ちなみに、真ん中のamountノブを0%にすれば結構素直なリミッターになってくれます。立体感もありますし、この状態かなり好きかも。

Softube – Weiss MM-1 Mastering Maximizer

音は一番好き 多少無理しても使いたい気もする

評価:★★★★☆(プリセットさえ使えれば…!)

・プリセット作成可能か…NG(俺の環境では)
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(18dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…音質的にはこれがとてもフラットで、できるならこれを使いたい! 重厚感といい、周波数帯バランスのちょうどよさといい、操作の簡単さといい、音に関しては文句なし。
 音としてはこれを使いたいけど、なぜかプリセットを作ろうとしたらPremiereではフリーズするので、毎日の動画制作には向いてないかなーと苦渋の判断で諦めることになりそうです。

iZotope – Ozone 12 Maximizer

評価:★★☆☆☆

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(20dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…ちょっと粘っこいけど気になるほどではありません。それ以外は良くも悪くもあまり特記するところはありません。
 比較的立体感はある方かもしれません……が、誤差レベルかも。
[追記]
 なんかPremiereで使うとプツプツするかも。書き出したら問題ないんだろうけど作業中になると気になるのでこれはナシ。

[追記]Sonible / smart:limit

動作が安定してて軽く音も良い。

評価:★★★★★

・プリセット作成可能か…OK
・Premiereが落ちない…OK
・ゲインを+12~+14dBまで上げれるか…OK(20dBまで可)
・Ceilingを-1.0dBに設定できる…OK
・音質…持ってたし音が良いので追記しておきます。
 本来はAIによる分析をするコンプなんですが、普通のリミッター部分の素性も良く、Weiss MM-1はわずかに鈍重になる感じがありますが(まぁ高級感があるのでトレードオフですが)、こちらは歪みも少なく周波数帯的に最もきれいに素直にドンと上がるですたいという感じ。かなり率直な音です。
 んでもってラウドネス(LUFS)もこのプラグインだけで確認できるし、自分が適正な音作りをしているかどうか(?)がグラフで確認できるようになっています。
 プリセットがDefaultしかないので自分が作ったプリセットが探しやすいのも操作性にとってプラスです。いやぁベタ褒め。

結論

 結論を言うなら……。

amountを0%にした場合ね

 単純な評価で行くと、The God Particleかなぁ。
 立体感があるので、ゲーム音と自分の声が分離されて聞こえる(比較的そう聞こえるというだけでめちゃめちゃ分離されているわけではない)かなぁ…と言ったところ。

音は高級感があり、わずかな低域の重厚さ、高域の耳に痛くない感じなど完璧

 でも諦めきれないのがSoftube – Weiss MM-1ですね。
 MM-1はプリセットがなぜか登録できなくて要件は満たしていないんですが、それでも音が良い!
 多少クリック数が多かろうがしばらく使ってみるかもしれません。せっかく買ったしね。

 いつでも85点で低域がちょっとドスが利くのが残念なちょっと淡泊なThe God Particle、
 98点くらいを伺う上品な重厚さと高域のトゲトゲしくないMM-1(ただしプリセットはない)、どちらを選ぶか、といったところ。

 まぁ、馬鹿でかい音で聞けばかろうじて判断できる程度で、皆さんが普通に実況動画を聞く中ではあまり変わらないんですけどね。というか、ほとんどスマホで視聴されるのに音質云々言ってもねぇ…(ちゃぶ台返し)

起動が爆速なのもいいところ

[追記]
 使いづらくてもMM-1を使おうか、と思っていましたが、smart:limitが軽さ・扱い安さ・動作の安定性が抜群な上に、音がかなり素直で変に高域がキンキンしたり低域が膨らんだりせず、ミックス段階の音のそのまま増幅してくれるのが良いですね。当座はsmart:limitを使うことにしました。

 他にもBrainworx bx_limiter True Peakとか、Invisible limiter G2も比較しましたが、どちらもプリセットが追加できなかったので(俺にはわからなかったので)除外しています。

 みんなゲーム実況のマスターの最終段には何使ってるんだろう。
 終わります。

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